TradingViewでは中空ローソク足が利用できます。この中空ローソク足は一見、通常のローソク足の実体を空白にしただけのものに見えますが、実は考え方自体が異なります。この記事では「中空ローソク足」と「ローソク足」の概念の違いや、使い方について解説します。
目次
中空ローソク足とは?
TradingViewのチャートで、チャート種別に「中空ローソク足」を選ぶと、この様なチャートが表示されます。こちらはドル円のチャートですが、一見なんとなくローソク足の実体が空白となっているだけの様に思えます。しかしよく見ると陰線は実体が塗りつぶされているようにも見えます。なんだか変です。
そこで今度は日経225のチャートのチャートを開いてみます。すると今度は陽線にも実体が塗りつぶされたローソク足が出現しました。さらによく見ると、実体が塗りつぶされたものと空白の陰線と陽線があります。これは何でしょうか?
ご存知の通り、通常のローソク足は「始値」と「終値」の価格により陽線か陰線かが決まります。しかし中空ローソク足では、現在の足の「始値」と「終値」だけでなく、前の足の「終値」も判断基準となります。
中空ローソク足の図解解説(陽線)
それでは中空ローソクの仕組みについて図解で解説します。
まず中空ローソクの陽線は現在の足基準ではありません。ですから現在の足で「始値」よりも「終値」が高い場合でも陰線となることがあり、これは通常のローソク足とは全く異なります。ですから通常のローソク足と同様に見ると判断を完全に誤ります。
例えば下記は同じチャートを通常ローソク足と中空ローソク足で表示したものを並べたものです。高値の頂点部分の足が通常のローソク足では陰線、中空ローソク足では陽線と真逆に表示されている事が確認できます。
中空ローソクでの陽線/陰線の基準は、(現在の足の始値ではなく)「前の足の終値」と「現在の足の終値」です。前の足の終値よりも現在の足の終値が「高ければ陽線」となり、「低ければ陰線」となります。
言葉では理解しずらいので、こちらは実際のチャートでそれを示したものです。(一部の)陽線を丸で囲っています。終値は黄色のラインです。いずれも前の足の終値よりも高いので陽線となっています。
また丸で囲った部分の陽線の、現在の足の始値から終値への価格変動を矢印で表してみるとこうなります。陽線でも現在の足では下落している事がわかります。あくまで陰陽の判断は前の足の終値との比較です。
これが正しいかを確認してみます。丸で囲った陽線のひとつを拡大したのが下記です。陽線ですが、現在の足では始値(23020.2)のほうが、終値(22869.5)より高いことがわかります。これは通常のローソク足であれば陰線ですが、中空ローソクでは塗りつぶされた陽線で表されます。
中空ローソク足の陰線
中空ローソク足のまとめ
TradingViewで中空ローソク足を使うには?
一言メモ
一見デザインだけが違うように見える、中空ローソク足ですが、この記事で解説したように実は概念自体が通常のローソク足とは異なる事がわかります。また通常のローソク足と中空ローソク足では陰線と陽線が反対になる事もざらにある為、同じと思って使うと全く違う(誤った)判断をしてしまう可能性もあります。
これは中空ローソク足に限らず、インジケーターなどにも言えますが、仕組みを理解せずに利用すると、誤った使い方や判断をすることがあるので注意です。自分が使うツールは仕組みから理解したいものです。
今回紹介した「中空ローソク足」は、ひと目見ただけで、現在の足だけでなく、前の足の終値との位置関係も明確に確認することができるので、概念を理解し利用すると便利です。
中空ローソク足を使いたい方はTradingViewに登録すると利用することができます。TradingViewに関する記事は、こちらの記事などでも紹介していますので合わせてどうぞ。
それではまた!