この記事は「損切りに迷った時に読む記事」です。
トレードは人間心理的に負けるようにできていてそれ故に9割の挑戦者が負けるという現実があります。トレードで勝つためには「間違いを認め損失を受け入れること」、「目先の利益に捕らわれず利益をできるだけ伸ばすこと」、その結果含み益が消えて逆に損失になることもあるけれどそんな時もそれ以外の「どんな時も冷静さを失わないこと」といった要素が必要でどれも人間が苦手なことばかりです。
しかしトレードは人間が最も苦手な「感情を持たずルールに従い機械的に判断する」事を徹底できないと勝てないという厳しいゲームでもあります。 目次 人間は当たり前ですが機械ではありません。機械より優れているのは柔軟な判断ができることです。あらかじめ決められた事しか対応できない機械と違って人間は臨機応変に判断し決断をくだせます。逆に機械より優れていないのは一定のルールに従い機械的に判断することや同じ判断、同じ行動を延々と続けるといった事です。決まったことをやらせるならば機械に人間は勝てません。 また人間は臨機応変に柔軟な対応が可能ですが時に判断を誤ります。この大きな原因は人間には感情があることです。例えば怒りに満ちている時や大きなプレッシャーを感じている時などは冷静さを失い、普段では考えられないようなミスをしたりします。 しかしこれは人間が感情の生き物であるが故そこから逃れることはできません。ただ人間の感情を完全に消すことはできませんがあらかじめ「感情的な生き物である」と理解しておくことは可能です。そしてこれが重要です。 有名な孫氏の兵法の言葉として「彼を知り己を知れば百戦殆うからず。彼を知らずして己を知るは一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば戦う毎に殆うし。」というのがあります。戦いでは敵と見方の双方を理解しておかなければ勝てないといった内容です。 トレードでも同様で、相場について熟知する必要がある一方で、自分自身についても熟知する必要があります。これは客観的な自己分析とも言えると思います。自分はどういった性格であるのか、こういった判断は得意だけれどこういった間違いをおかしやすい、得意な状況や苦手な状況は何かといった事です。 これは「冷静さを失いやすい」といった形で大雑把に把握しておくことも大切ですし、そこから一歩進んでより具体的に「方向判断は正しいことが多いけれど、エントリータイミングが早く逆行される事が多い」、「含み益があった局面から逆行し一転含み損となった時に損切りできなくなったり冷静さを失う」、「一度負けると冷静さを失い続けてエントリーしてしまい連敗する」といった形で把握しておくことも大切です。 思いついた時に自身の不得手についてメモをしておくと役立つはずです。 トレードにおいては自分自身の短所の理解は特に重要です。それは取り返しのつかない大損失に繋がることがあるからです。 トレードで上手くいっている時の失敗はあまり大したことではなく、例えば利益をもっと伸ばせたのに取り損ねたケースでも、もちろん問題ではあるのですがこの時点では実際の損失が発生したわけでもありませんのでカバーできる範囲です。もちろんトータル損益に影響することは理解しておくべきではありますが。 しかし失敗した時の対処法は非常に重要で、これに失敗すると大損失に繋がり、時に取り返しのつかない額の損失を被ったり最悪退場になったりします。 例えば先ほど例に上げた「含み益が一転して含み損に変わるケースが苦手」なのであれば必ず利益が出たタイミングでブレイクイーブンを設定する様にするべきですし、「負けたらさらに連敗する」のであれば負けたら少し休むなどのルールを決めておかないと大損失に繋がります。 しかしトレードは甘くありません。なのでいくら対処を準備していたとしても不測の事態で予想外の損失になるケースもあります。 そんな時はどうやって対処すれば良いか? もちろん対処法は基本的にはロスカットしか無いのですが、そのロスカットがわかっていてもできないケースがあります。「許容できる損失額を超えている」、「トレードの根拠が崩れたかまだ判断できない」等。こういったケースではロスカットしたほうが良いと心の奥底では理解していても実際に行動できなかったりします。 時に「もう知らない」と相場を見ることを止めたり(見るのを止めても好転しません)、「また明日、また来週考えよう。今日は寝る」と時間稼ぎをしたり(冷静に判断し直すのは良いですが状況はさらに悪化している可能性も)、「あーもうどうにでもなれ」と投げやりになったりします(泣いたり謝れば許してくれるのは人間相手だけです)。 このような苦しい状況の時は一旦ロスカットして冷静に判断し直すのが常に最適解ですがそれができないのが人間の弱さです。ただこういった時は次の事を考えてみてください。 人間は感情の生き物でありますがその感情は長くは続きません。どんなに酷い怒りに震えていたとしても早ければ数分で、遅くとも数日から数週間経てば普通は忘れていきます。嬉しい感情や喜びも同様です。嬉しい出来事があった時その瞬間は嬉しいですが、日々新しいことが起こる中で1ヶ月後も1年後も同じ気持ちで喜ぶことはまずできません。 また人間は記憶する生き物ですが同時にどんどん忘れていく生き物でもあります。例えば今食べているものは覚えていても、昨日の夕飯は覚えているでしょうか。昨日ならば覚えているかもしれませんが10日前や20日前の夕飯を覚えているでしょうか?たぶんメモでもしていないと記憶に残っていないと思います。 トレードでも同様で詳細に記録を残しておかないと過去のトレードは忘れていきます。もちろん特に強い印象に残っているトレードはおぼろげに覚えている事もあるでしょう。しかし普通は忘れてしまい覚えていません。例えば1年前のトレードについてトレードの根拠や内容を詳細に思い出せるでしょうか。トレードをしたことすら忘れているかも知れません。 勝ちトレードだけではなく負けトレードも時間が経てば忘れてしまいます。どんなに辛い経験のトレードであっても時間が経てば感情は薄まります。「あの時は辛かったな」程度の気持ちに変わっていきます。それ以外の平凡なトレードは言われなければ思い出せなくなります。 だからよくトレードジャーナルを残すのが大切と言われます。これは人間は記憶に残して置くことが苦手でほぼ必ず忘れるからです。なので過去の価値があるトレードの経験を活かすためにトレードジャーナルを付けましょうという話しが出るわけです。要は勝てる要素の抽出や同じ失敗をしない為ですね。失敗を経験として残したければ必ず記録することが大切です。大敗した経験すら忘れて同じ失敗をするのが人間ですから。 ただ逆に言えばそれぐらい記憶に残すというのは難しいんです。だからもしあなたが今「大きな含み損を抱えていて切れずにいる時」、「切ろうか迷っている時」、「そして切って大きな損失となり冷静さを失っている時」などはこれを思い出してください。 「どうせしばらくすれば、すっかり忘れてしまう」 辛かった気持ち、苦しんでいた気持ち、しばらく時間が経てば全てすっきり忘れてしまいます。後から考えれば当時の気持ちを忘れて「あの時早めに切って損失を押さえておけば今に繋がったのに、なんでもっと早く切れなかったんだ」とすら思ったりします。 人間は誤った判断も時にしますし、まして相場に全勝はありません。そして間違いを認めるのは辛いです。 しかし幸いなことに相場は常に動いていますし動き続けています。だからチャンスはいくらでもありますし今後さらに大きなわかりやすいチャンスが来る可能性も大いにあります。だから今の負けにこだわる必要はありません。切ればむしろすっきりして頭も働き冷静に考えられるようになったりします。むしろひとつのトレードに拘り過ぎることの方が愚策です。 何より重要なのはどうせしばらくすればすっかり悪い記憶も忘れてしまうのですから。であればミスを認め決断するのは早いほうが良いという事です。
人間の本質的な部分を理解する
自身の長所短所を理解する。
トレードでは短所の理解は特に重要
不測の事態で予想外の損失になるケースの対処法
人間は忘れる生き物でもあります
どうせしばらくすれば忘れてしまう