ブルトラップの可能性を考慮してポンド円のシナリオを再構築してみました。契機となったのはドル円の調整について以前から気になっている部分があり一旦冷静に状況を見てみようと考えたことです。ただ単なる考えすぎかも知れません。前置きはこの辺にして早速分析を始めたいと思います。今回分析が長くなりますがよろしければご覧ください。
目次
現在の相場と通貨強弱の状況
ドル円の4波調整は本当に完了したのか?
以前から気にかかっている疑問としてドル円の4波調整が完了したのかという疑問があります。「4波は115.5円で完了し現在は既に5波に移行した」。これが個人的な見解でもありましたし国内外のエリオット波動分析でもそういった見解が多い状況です。
ただ115.5円というポイントは3波のフィボナッチリトレースメント38.2%のポイントです。38.2%の調整というのは基本的に浅いです。61.8%まで深押しすることもよくありますし4波が1波のすぐ上まで調整するのも良くあります。
以下ドル円の日足チャートですが黄色線が前回までの見解で既に5波スタートと考えた場合です。確かに2波と4波でオルタネーションもしていますし誤った分析ではありません。ただ1波は107.5で完了ですし、フィボナッチリトレースメント50%のポイントが109.1、61.8%のポイントが106.9です。それと比べると111.5はかなり上のレベルです。
赤線が今回新たに想定してみた波動展開です。現在は依然4波でさらなる深押しの後に5波スタートという考えです。根拠としてはフィボナッチの他、このケースであればテクニカル的にはヘッド&ショルダーになる事と先行して109円台の下の窓を埋めに行くのではという事です。またサイクル的に期末となる3月までは円高傾向が強く4月から円安が例年のサイクルですがこの形態であれば円高時期に高値ブレイクという矛盾が消えます。
後は念の為ファンダ的な面を少し考慮してみます。
日本と円に対する見方
日本の経済は20年低迷しており今後も回復の見込が無い。海外の識者の意見でもそういった見方が大勢でそれ故一時ヘリコプターマネーの可能性に反応があったりしました。しかしソース失念で申し訳ないのですがこの間とある分析を見ていた時に欧米の体たらくを体感しつつある現在、実は日本はよくやっているという意見が増えているという話を見ました。
また日銀の政策面でも今後さらに緩和拡大と見ている向きは案外少なく、長期金利は既に底を打ったと見られていますし今後の大きな舵取りの方向はテーパリングとも考えられています。
両要素とも円が長期的に買われていく話です。日本や円に対する風向きが少し変わってきていると感じています。短期的なニュースやトピックは色々あるかと思いますが大きな方向性に注意したい所です。もともとリスクオフで強く買われるのが円ですしそれを海外勢も狙っていますから円ロングの方が利は取りやすい面もあります。
現在日本人の賃金が欧米に比べるとかなり安くなっていますがこれも円高に振れると全く別の状況になります。円高は円の価値が高まる事であり個人資産も海外と比較すると実質増えますから歓迎したい所です。
逆のファンダシナリオとしては圧倒的なドル高。ドルは今後利上げしますから日本の金利が上がらなければ日米金利差が拡大します。なのでドル円は上昇するというシナリオになります。ただドル高を当局が容認するかという問題はあります。話が逸れましたがテクニカル分析に戻します。
ポンド円以外のポンドの方向性
ポンド米ドルとポンド豪ドルでポンド自体の方向性を確認してみます。
ポンドドルの波動分析
ポンド円シナリオ1、トライアングルブレイクから上昇へ
ポンド円反対シナリオ。ブルトラップを狙う。
先ほどのポンド円のトライアングルは非常にわかりやすい形でありかなり多くのトレーダーが狙っていることが予測されます。加えると調整波とAABCDEパターンの関係で基本的には上方向で下攻めからの反転上昇での突破を想定しているはずです。そしてブレイクした後逆指値でロングエントリーという形が通常です。
しかし今回上値ブレイクはトラップとなり思うように値が伸びず反対に大きく下落するブルトラップになると予測します。基本的には値が崩れ始めた所をショートで追い駆けたいです。なおもし万一ブレイクが本物であれば値幅の大きいポンド円は160円を狙いに行くので後からロングを追いかけても十分間に合います。
こちらはポンド円日足チャートです。BREXIT後の10月のクラッシュで下落5波動を完了した形です。なので現在はドル円とは異なり大きな調整波と考えられます。現在B波の段階です。
その中でBREXIT後10月の安値から昨年12月15日に148円の高値を付けました。10月の安値がクラッシュだったので各社値が異なるかと思いますが手元のチャートで123.35、TraindgViewで見るとFXCMで124.69です。高安の値幅としては約24円です。
上記チャートではその高安に対してフィボナッチリトレースメントを求めていますが調整は50%の手前で終了しています。これもやや浅い調整ですのでより深押しする可能性があります。具体的にはフィボナッチリトレースメント61.8%が132.9レベルが目標値と考えており一旦ブレイクした上値のトレンドラインに接近する方向に動くと考えています。現在から8円下の地点です。
ここまで調整してようやくある程度の調整をこなしたように見えます。その後は調整C波の上昇波動となりますがフィボナッチエクスパンションで目標値を求めると156円を超えて来ます。
ポンド円波動展開予測まとめ
トライアングルブレイクは下にブレイクもしくは上にブレイクした後上昇が伸びず反落を予想。日足レベルの波動展開としては一旦先行して下落の後に上昇と考え、値の目安としては132円程度まで大きく下落した後に156円を狙う展開への移行を想定。ドル円やポンドの波動や季節要素的なサイクル理論、ファンダ的な要素を考慮した場合、すんなり上昇しないこのシナリオのほうがより整合性が取れていますし今の段階ではより現実的なストーリーでは無いかと考えています。