しばらくトレンドが出ていなかったユーロ円ですが状況は徐々に煮詰まってきている様に見えます。
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ユーロ圏の現状
ユーロ圏の当面の大きなリスクとしてはフランス、オランダ、イタリアの選挙で保護主義勢力の当選が警戒されています。メディアで言われる所の極右勢力が台頭することになると警戒感からユーロ売りは避けられません。
一方経済面では直近の指標が好調で特にドイツを中心に経済状況の良さが伺えます。これによりインフレ見通しが高まるようだとECBのテーパリング議論へと繋がります。テーパリングは決定せずとも議論されたと出るだけで相当なユーロの買い戻しが入ることが想定されます。
その他ユーロの買い支え材料としては、米国の対ドイツに対する通貨安牽制やドル高牽制。トランプ氏やその側近による口先介入は続くと考えられその度にドル売りの流れが出そうです。ドル円も同様ですがこれがありなかなか単純にドル高へと進みません。また英国が依然としてBREXITやスコットランド独立リスクを抱えた中ではユーロよりもポンドが強く売られる状況でそれが逆にユーロポンドでのユーロの買い支えに繋がっています。
トランプ政権とムニューチン氏について余談
トランプ政権についての話ですが特に財務長官のムニューチン(Steven Mnuchin)氏には要注意と考えています。今年既に2回ムニューチン発言があった前後で大きく流れが変わり個人的にもやられた形となりました。ムニューチン氏はゴールドマンサックスの共同経営者であった過去やソロス氏との関係などを見ても相当に金融市場を熟知しています。為替市場をアメリカの有利な方向に動かす事が今後もありそうです。
過去にも同じ様な事は起こっており、例えば少し前のニュージランドの前首相ジョン・キー氏がそうでした。キー氏はメリルリンチで為替部長を務めており、また自身も優秀な為替ディーラーだった経験があり同様に金融市場を熟知している人物でした。キー氏は首相に就任後異例の口先介入を度々行い、また同時に実弾でも介入するなどでニュージーランドドルを通貨安へと導きました。
キー氏は通貨水準に言及したりしたのですが経歴から言ってこれが市場にどういう影響を及ぼすか知らないはずがありません。むしろわかっていてやったはずです。これと同様の事がムニューチン氏でも起こる(既に起こっている)と考えたほうが良さそうです。市場への影響を知らないふりをしながら口先介入が起こると推測します。
わかっていれば対策は打ちやすいものです。バランスを取りながらそして時にドル高を容認するような事を言いながら要所ではドル高を強く牽制する形でドル安もしくは他国通貨高を導くものと考えます。
ユーロ円のフィボナッチ分析
ユーロ円のエリオット波動分析
同じユーロ円の週足チャートにエリオット波動分析を加えてみました。見やすさの為先ほどのフィボナッチリトレースメントは削除してあります。
2012年の98円のボトムから148円の高値まで5波動を形成し上昇しました。その後調整波の段階で109円の段階で大きな3波動を完成させています。大局的には現在既に109円をボトムとした反転上昇がスタートしていると言える状況です。
上記チャートには先ほどとは別のフィボナッチリトレースメントを表示してあります。チャートではYと(1)でフィボナッチリトレースメントを引いたものでこれは現在の(2)の調整波が完了したか確認するためのものです。
Yと(1)の値は、それぞれ Y = 109.5、(1) = 124.1 であり、その後の安値は2/24の118.2です。この2/24の安値はフィボナッチ水準では38.2%の水準です。浅いとはいえ一定の基準には達しているため調整が完了したとも言えなくない水準です。ですので当面はこの118.2の下にストップを置いて押し目買いが有効と考えます。
118.2を割れるケースではフィボナッチリトレースメント61.8%の115円までの押しを考えたい所で、その地点は週足雲の下限でもあり強くサポートされるはずです。もしそこまでの押しがあれば厚めにロングポジションを取りたい所です。
チャートでは115円まで押した場合のケースを(2)と表示しており、またY、(1)、(2)を起点としたフィボナッチエクスパンションを求めています。フィボナッチエクスパンションの100%水準が130円、161.8%水準が140円手前であり(2)のボトムを付けきった後はそこまでの上昇が見込めると考えています。